AGAVE v4.2 — 2026.07.31 リリース
コードは、もう入っている。
あとはスイッチを入れるだけ。
Agave 4.2 の目玉は、リリースと同時には動きません。フィーチャーゲートという段階的なスイッチで、ひとつずつオンになります。いまどこまで入ったのかを見てみましょう。
この盤の読み方
Agave 4.2 を理解する鍵は、たったひとつの言葉です。
フィーチャーゲートとは
新しい動きは、クライアントを更新した時点でコードとしては入っています。でも、スイッチが入るまでは何も変わりません。
スイッチを入れるのは投票ではありません。そのゲートを認識するソフトを動かしているバリデータが十分に増えたのを見て、エポックの切れ目に有効化されます。運用上の目安は、ステークのおおむね95%です。だから「リリース済み」と「もう使える」は、別の話になります。
レントは5段、スロットは4段。ひとつずつ入れて、様子を見て、危なければ止まる。それが 4.2 の設計です。
ここまでの道のり
リリースから有効化まで、実際に何が起きたか。
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2026.07.31Agave 4.2 リリースAlpenglow のコードもここで初公開。
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2026.08.11一般利用を推奨バリデータへの更新の呼びかけが始まる。
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2026.08.18フィーチャーゲートの有効化を開始予定は8月17日、実際は1日遅れ。ゲートは入っても、効き始めるのは次のエポックから。
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2026.08.21 · EPOCH 1020スロットタイム 350ms が発効初誕生以来はじめて、Solana の刻みが速くなった。ゲート自体はひとつ前のエポック1019で入り、規定どおり1エポック後に効き始めた。残り3段。
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2026.10(目標)Agave 4.3 で Alpenglow を起動4.2 に積んだエンジンに、ようやく火が入る予定。
3つの目玉のほかに
4.2 には、積まれてはいるが、まだ動かさないものがあります。
1,232バイトは Solana の都合ではなく、IPv6パケットの都合でした。
1,232 の正体、4,096 の理由
上限がどこから来て、なぜ今の数字で止まったのか。4つの場面で追いかけます。
UDP時代の制約
UDP には、大きなデータを分けて送って組み直す仕組みがありません。だからトランザクションは1個のパケットに丸ごと収める必要がありました。しかも途中で分割されないよう、IPv6 が「どんな経路でも必ず通る」と保証する 1,280 バイト以内に。
アカウントの入れ物くらべ
アドレスは1つ32バイト。何個まで入るのか、動かして確かめてください。
署名や命令データの分として、どの行にも約220バイトを先に置いています。実際の内訳はトランザクションごとに変わります。
かたちを見る
v1 は中身の並び順そのものが変わります。紫の部分を押すと説明が出ます。
これが v1 の目印です。先頭にあるので、中身を読み解かなくてもフォーマットを見分けられます。
模式図です。帯の幅は実際のバイト数には比例していません。
変わること、変わらないこと
| 項目 | legacy | v0 | v1 |
|---|---|---|---|
| サイズ上限 | 1,232 B | 1,232 B | 4,096 B |
| アドレス数 | 約32(サイズ次第) | 64(ALT経由) | 64(そのまま) |
| ALT | 使えない | 使える | 使えない |
| 同じアドレスの重複 | 許される | 許される | 拒否される |
署名12・命令64・CU上限は据え置きです。大きくなったのは入れ物だけで、できる仕事の量は変わりません。
移行の落とし穴
あなたの立場を選んでください。関係するものだけ表示します。
何ができるようになる?
秘匿送金などで使う、大きな証明データ。
機関投資家が使う、署名が何重にもなる構成。
専用の高速化を持たない署名方式。
これまで複数に分けたり Jito バンドルにまとめたりしていた処理が、1つのアトミックなトランザクションになります。ただし大きなトランザクションは帯域を多く使うため、同じ優先度でも高めの手数料が必要になる見込みです。
レントは家賃ではなく保証金。10分の1になっても、返ってくることは変わりません。
なぜ下げるのか
安くしてあげるため、ではありません。提案の言い分はこうです。
- 根拠のない定数6,960 は、実際のディスク代から計算された数字ではありません。何年も前に置かれた定数です。
- SOL の価格が上がったランポート建ての数字は変わらないまま、実質的な負担だけが大きくなりました。誰かが決めた値上げではありません。
- 他チェーンより高い提案は「実際の資源コストによる説得力のある正当化はない」と書いています。つまり、高さに理由がない。
事業者が黙って肩代わりできる
いまはトークンを受け取るだけで約0.002 SOL の口座代がかかります。ユーザーに払わせるなら、先にウォレットへ SOL を入れてもらうことになる。一般向けアプリでは、そこで人が離れます。
アカウントを大量に使うアプリが成り立つ
プレイヤーごとに状態を持つゲーム、保有者ごとに口座が要るトークン化、価格帯ごとに領域を持つ板。どれも口座数に比例して費用が増えるので、10分の1は効きます。
トレードオフは1つだけです。保証金はスパムを抑える重しでもあるので、安くすれば大量にアカウントを作る費用も下がります。この先に出てくる仕掛けは、すべてその1点への備えです。
均等ではない、5段の階段
6,960 から 696 へ。一度には下りません。段を押すと、その時点の姿が見えます。
提案には「リスクは段が進むほど、加速して大きくなる」と明記されています。だから次に進むのは、安全と判断できたときだけです。
2026年8月23日時点では、5つのゲートはどれも入っていません。実際の値は 6,960 のままです。USD換算は出典では約$0.159→約$0.0159ですが、SOLの価格で変わります。
自分のアカウントで試す
必要な保証金は、データの大きさで決まります。
128バイトはどのアカウントにも付く固定の管理領域です。閉じればどちらの金額も全額戻ってきます。
いま持っているアカウントは?
追加で払う必要はありません
既存のアカウントもプログラムも、そのまま動きます。レント削減は「制約をゆるめる」変更なので、これまでのロジックが壊れることはありません。
それどころか、新しい最低額まで残高を引き下げることが認められます。余分に預けていた分は、取り戻せるということです。
なぜ一気に下げないのか
安くすること自体に、副作用があるからです。
ステートとは、すべてのバリデータがディスクに持ち続けるデータのことです。増えるほど参加に必要なマシンが重くなり、バリデータを続けられる人が減ります。だから保証金は、ステートを無闇に増やさせないための重しでもあります。
保証金は返ってくるお金です。だから攻撃者にとっての費用は「支払い」ではなく、「その額を拘束し続けること」になります。安くしたあとでも、この金額が必要です。
この2つは別のカテゴリです。SPL Token の領域のうち約30%は、Pump.fun のようなローンチパッド由来と推定されています。SPL Token 自体の比率は公表されていないため、ここでは大きさを描いていません。
この節の数値は、Solana Foundation が2026年6月に公表したレント削減の分析によります。
下げたあと、戻れるように
3つの装置が、この変更を引き返せるものにしています。
5つに分けたゲート
一段ごとに様子を見て、危なければそこで止まります。全部を一度に下ろす必要はありません。
既存アカウントの据え置き
必要な最低額は「いまのレートでの最低額」と「実行前の残高」の低い方です。だからレートが上がっても、既にあるアカウントが不足になることはありません。ただし、そのトランザクションで新しく作られたか、サイズを変えられたアカウントは、いまのレートで判定されます。
先に用意した非常ボタン
6,960 に戻すためのスイッチが、下げ始める前から用意されています。問題が起きてから設計する必要はありません。
下がったぶんを引き出したあとで 6,960 に戻されたら、残高が足りなくなりそうに見えます。実際にはなりません。判定に使うのが「低い方」だからです。
最後の行がすべてです。レートが10倍に戻っても、必要額は残高と同じ 203,928 のまま。不足も追徴も起きません。ただしここから先へは引き出せなくなります。閉じて全額回収することは、いつでもできます。
一気に半分ではなく、50msずつ4回。しかも危なくなったら、そこで止まります。
4段の階段
レントの階段は段差がばらばらでしたが、こちらはきれいに50msずつです。段を選ぶと、その世界の数字に切り替わります。なお、ここに出てくる ms はすべて目標値で、実測はこれよりわずかに長くなります。
なぜ普及を待つのか。フィーチャーゲートは後方互換のないハードフォークなので、更新していないバリデータはネットワークから離れてしまいます。だから有効化はテストネット、デブネット、メインネットの順に進みます。
次の段に進む条件は2つ。ひとつは、そのゲートを認識するソフトを動かしているステークが十分に増えること。有効化は投票ではなく、普及を見てエポックの切れ目に行われます。運用上の目安はおおむね95%です。もうひとつは、ブロックのスキップ率が高くなっていないこと。スキップ率とは、担当のリーダーがそのスロットでブロックを出せなかった割合のことです。ただし、その閾値が具体的にいくつなのかは公表されていません。関門は4回あります。
鼓動をくらべる
数字ではわかりにくい差です。実際のリズムで鳴らしてみてください。
▶ を押すと、2つのリズムが同時に流れます。上の階段で速さを変えられます。
効き始めるのは、次のエポックから
スイッチが入った瞬間には変わりません。ここには理由があります。
スロットタイムを縮めると、1スロットに入るシュレッド(ブロックの断片)の上限も下がります。エポックの切れ目で切り替えることで、Turbine がきれいに新しい上限へ移れるようにしています。
縮むもの、縮まないもの
速くなるのは「刻み」であって、「総量」ではありません。
- 1.6s → 800ms — リーダーが独占する時間
- 1ブロックの計算上限。400ms の 100M CU が、350ms では 87.5M CU に
- エポックの実時間(48時間 → 24時間へ)
- 毎秒の計算上限。どの段でも約 250M CU/秒
- 64 — スロットあたりの tick 数
- 4 — リーダーウィンドウのスロット数
- 432,000 — エポックあたりのスロット数
- 実時間で見たインフレ率
1年あたりのスロット数を逆比で増やすことで、実時間で見たインフレは変わらないように調整されています。
速くなると、何が変わる?
送ってから結果が返るまでが短くなります。
1人のリーダーが順番をいじれる時間が半分になります。
エポックが短くなるぶん、精算の周期も短くなります。
注意も2つ。これは破壊的変更なので、スロット数から時間を計算しているアプリやSDKの定数は見直しが必要です。また Alpenglow より先に 200ms に届くと、投票の回数が倍になり、バリデータの投票コストが約2倍になり得ます。
エンジンは積み終わっています。あとは鍵を回すだけ — それは 4.3 の仕事です。
いまどこにいるか
4.2 に完全な実装が入りました。ただしメインネットでは動かしません。
実装
Agave 4.2 に同梱されました。4.2 を動かしているバリデータは、すでに完全な実装を積んでいます。
テストと監査
この期間は、コミュニティのテストクラスタでの検証と、コードの強化にあてられています。
メインネットで起動
Agave 4.3 で。2026年10月が目標とされています。
新しい投票エンジンです。TowerBFT と、合意形成における Proof of History の役割を置き換えます。バリデータどうしが直接やりとりして合意にたどり着き、時刻の基準は固定のブロック間隔と各自のタイマーが担います。
4.3 で何が変わるのか
確定までにかかる時間が、桁ごと変わります。
帯の長さは同じ縮尺です。Votor 側がほとんど見えないこと自体が、この変化の大きさを表しています。あわせて、オンチェーンの投票トランザクションそのものが廃止されます。なお、よく一緒に語られる Rotor(ブロック配信の刷新)は別の提案で、ここには含まれません。Turbine はそのまま残ります。
10月は「目標」です
4.3 は 2026年8月5日に alpha.3 が出ていますが、本番利用には適さないと明記された段階です。確定した日付ではありません。
はじめて賞金の的になった
開発中は対象外だった Alpenglow のコードが、公開と同時にバグバウンティの土俵へ。